侍が黙った。
顔に、商人にいさめられるなどと書いてある。苛立つように刀をしまうと、
「さあ行くぞ」
紫音を促した。
「マシュー、もしかして後で会えるかもしれないわ。会えたらその時に話しましょう」
「・・あとで、会える?」
「ええ、そうよ」
近江屋が破願して、
「それがいい! 裏の屋敷の用が済めばお連れしましょう、マシュー殿の前に。必ずお連れしますよ」
「本当だな」
「はい、もちろん。武士に・・、いや商人に二言はございません」
ハハハと陽気に笑う。
侍がさも嫌そうに顔をゆがめた。
チッと舌打ちをして背を向ける。
そして当たり散らすように紫音の背を押した。
そんな様子を、マシューが見ていた。
彼らの行く手に竹やぶがあった。
そこを曲がろうとしたとき、紫音の横顔が見えた。
「大丈夫よ」
と言ったさっきとは違っていた。
青ざめて硬直していた。
◆ ◆ ◆
顔に、商人にいさめられるなどと書いてある。苛立つように刀をしまうと、
「さあ行くぞ」
紫音を促した。
「マシュー、もしかして後で会えるかもしれないわ。会えたらその時に話しましょう」
「・・あとで、会える?」
「ええ、そうよ」
近江屋が破願して、
「それがいい! 裏の屋敷の用が済めばお連れしましょう、マシュー殿の前に。必ずお連れしますよ」
「本当だな」
「はい、もちろん。武士に・・、いや商人に二言はございません」
ハハハと陽気に笑う。
侍がさも嫌そうに顔をゆがめた。
チッと舌打ちをして背を向ける。
そして当たり散らすように紫音の背を押した。
そんな様子を、マシューが見ていた。
彼らの行く手に竹やぶがあった。
そこを曲がろうとしたとき、紫音の横顔が見えた。
「大丈夫よ」
と言ったさっきとは違っていた。
青ざめて硬直していた。
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