はるけき きみに  ー 彼方より -

「こちらです。この奥にお座敷を構えておりますので」
 小道のように造られた石畳に招こうとする。

 近くでまた水の音がした。何かを呼びかけるような音だった。
 せせらぎにつられて羊歯の葉が揺れていた。

 それを一瞬見やる。

 そして・・。
 えっと思った。

 池の向こうを歩いている人の影が見えた。

 そんなマシューに気がついて向こうもこっちを見た。
 そして驚いた顔になる。

 その人は、この堺に来て役所へ行く途中で別れた、あの紫音だった。