はるけき きみに  ー 彼方より -

 鹿島は相好を崩してそれを見る、そして大口で頬ばった。

「はてさて、あれ(・・)はまるでこの菓子のようじゃのう」

 ふわりとした感触が口に広がる。

 甘党の彼はあれこれの珍味を食べるのが好きだった。
 饅頭、羊羹は毎日のように食し、全国に珍しいものがあると聞けばさっそく取り寄せてみる。

 そしてある日、カステイラという物を口に入れた。
 生れてこのかた食べたことがない味だった。
 ポルトガルの菓子だと聞いた。さっそく家の料理人に作り方を習得させた。

 ほかにも金平糖だのという先がとがった菓子もある。その形も面白い、そして甘かった。

 それにつけてもと思うのだ。

 西洋とこの日本はあの菓子のようなものではあるまいか、と。
 二つは真逆、正反対なのだ。
 フワフワと柔らかいのが洋菓子なら、羊羹やせんべいのように歯ごたえのあるのが和菓子だ。

 それは、菓子にとどまらず人間にも言える気がした。