いま関田は、
「釈明もせず投獄されたのは、あなたさまの御ためでございました。鹿島は、卑劣にも、あなた様のご出生の疑惑、香苗さまが出産したのはわしの子ではないかと丹波様に迫ったのです」
「・・っ!」
「丹波様は真っ向から否定なさいました、紫音さまは自分の娘に間違いがないのだと。しかし鹿島は卑怯にも、それを言いふらすと言ったのです。世間に懇親会の件を伝えて、香苗さまが生んだ子が自分の子である可能性が高いのだと。そうすれば当の本人の、紫音はどう思うかと丹波様に迫ったのです。だから丹波様は何も言えなかったのです。鹿島の言いなりになって牢に入り、その揚げ句獄死されたのです」
紫音が小刻みに震えた。
あのとき、丹波は棺に入れられて帰ってきた。
頭が真っ白になった。
時間がどのように経ったのか、気が付いたときは葬儀が終っていた。
腹心だった石川と田中が尽力してくれたのだ。
「なぜ鹿島が丹波様にこれほど卑劣な手段に出たのか。その一つは、役所内での権力の有り方でした。当時は丹波様と鹿島の二つの勢力に分かれておりました。自分のやり方を通したい鹿島が、反対意見を述べてくる丹波様を煙たがっていたのです。それゆえ失脚を企てたのです」
結果はその通りになった。
丹波がいなくなって役所は鹿島の思惑通りに動くようになった。
「・・そう、だったのですね」
硬い声で答えた。
「それにしても、私にはもう一つ疑問があるのです。父は病気一つしたことがない健常な体でした。それがどうして投獄されてから短期間で命を失ったのかと」
「ごもっともです。それについて私は詳細を存じ上げないのですが、役所の中である噂が立っておりました。鹿島の息がかかった者が丹波様の食事に毒を盛ったのではないかと」
「まさか、そんなことが!」
「まことに申し訳ございません。私はあなた様を苦しめようとこんな話を持ち出した訳ではないのです」
「・・・・」
「釈明もせず投獄されたのは、あなたさまの御ためでございました。鹿島は、卑劣にも、あなた様のご出生の疑惑、香苗さまが出産したのはわしの子ではないかと丹波様に迫ったのです」
「・・っ!」
「丹波様は真っ向から否定なさいました、紫音さまは自分の娘に間違いがないのだと。しかし鹿島は卑怯にも、それを言いふらすと言ったのです。世間に懇親会の件を伝えて、香苗さまが生んだ子が自分の子である可能性が高いのだと。そうすれば当の本人の、紫音はどう思うかと丹波様に迫ったのです。だから丹波様は何も言えなかったのです。鹿島の言いなりになって牢に入り、その揚げ句獄死されたのです」
紫音が小刻みに震えた。
あのとき、丹波は棺に入れられて帰ってきた。
頭が真っ白になった。
時間がどのように経ったのか、気が付いたときは葬儀が終っていた。
腹心だった石川と田中が尽力してくれたのだ。
「なぜ鹿島が丹波様にこれほど卑劣な手段に出たのか。その一つは、役所内での権力の有り方でした。当時は丹波様と鹿島の二つの勢力に分かれておりました。自分のやり方を通したい鹿島が、反対意見を述べてくる丹波様を煙たがっていたのです。それゆえ失脚を企てたのです」
結果はその通りになった。
丹波がいなくなって役所は鹿島の思惑通りに動くようになった。
「・・そう、だったのですね」
硬い声で答えた。
「それにしても、私にはもう一つ疑問があるのです。父は病気一つしたことがない健常な体でした。それがどうして投獄されてから短期間で命を失ったのかと」
「ごもっともです。それについて私は詳細を存じ上げないのですが、役所の中である噂が立っておりました。鹿島の息がかかった者が丹波様の食事に毒を盛ったのではないかと」
「まさか、そんなことが!」
「まことに申し訳ございません。私はあなた様を苦しめようとこんな話を持ち出した訳ではないのです」
「・・・・」

