はるけき きみに  ー 彼方より -

「・・まことに、まことに、申し訳ございません」
 関田は床に頭を擦り付けた。

「今になってこんなことを申し上げてもと存じます。まったくお詫びの言葉もございません。丹波様と香苗様の代わりに、この身を引き裂いていただければと思うのであります」

 紫音はただ絶句していた。

 あの京都の寺の宋念からある程度は聞いていた。
 そう言えば、部屋へ手引きした者の名前が関田だったと言っていた。

 その関田はずっと低頭したままで、
「誠にご不快な告白で申し訳ございません。どのようにお詫びしても許されることではない、それは十分承知しているのです。ですが、私が本当に聞いていただきたいことは、この後の事なのでございます」

「この、あとのこと?」
「はい。そのあと、あろうことか丹波様は投獄されました。鹿島の術中にはめられたのです」

「はめられた、と言いましたか」
「はい」

「私は、その、どうしてもわからなかったのです。あの父が、丹波が、鹿島に言われたからと言って、抵抗もせずに牢に入ったのはどうしてかと。なぜ釈明もせずに言いなりになったのかと。そこが不思議でたまらなかったのです」

 同じことを、あの石川も言っていた。
 歯ぎしりをして、
『何かの理由があり、それがわかれば我らがなんとか出来るかも知れません。それなのに丹波様はなにもおっしゃらないのです。そして鹿島の思うように事が進んでいったのです。なんとも口惜しい限りでございます』
 と訴えたものだ。