はるけき きみに  ー 彼方より -

 用足しをした加奈が部屋に帰ってきた。
 相変わらずあちこちに数人の娘がうずくまっている。

 と、その中に幸江がいないのに気づいた。

「あの、幸江は、妹はどこに?」
 側にいた娘に聞いた。
「それが、鹿島さまのお部屋に、いましがた連れて行かれました」

「えっ、それはどういうことなの?」
 今度の問いには答えがない。

 鹿島さまの部屋に、連れて行かれたって?
 まさかと思う。

 だが居合わせた娘は皆が顔を伏せている。
 なにかを感じて番人に駆け寄った。
「妹は、幸江は、どこにいるのですか」

「あきらめることだな、鹿島様のお召だ」
 ぶっきらぼうに答えた。

「お、お召って・・。いや! そんなこと・・、妹は体が弱いのです、衰弱しているのです。そんな幸江を連れて行くなんて!」

 半狂乱のように叫んだ。
 だが、その声は地下の壁に響くだけだった。


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