はるけき きみに  ー 彼方より -

 ・・と、突然、
「てめえら」
「おんどれが」

 傭兵の声だ。
 彼らは鹿島屋敷にいて、しばしば前の道を行き来している。

「ああ、また来たのね。こんなときはいつもマシューが庭に出ていてくれるんだけどね」
 さりげなく紫音らを守る配慮、それが絶妙だった。

 八重が目を丸めた。
「もしかして、お嬢様も私と同じでは?」
 えっ? と思った。
 顔を見合わせる。
 同時にふきだした。

「留守が気になるのは、八重ばかりではないわね」
「そうでございますよ。本当に何をしているのでしょうね、女二人をこの屋敷に残したままで」

 本気で肩を怒らせている。
 八重にとってもマシューは無くてはならない存在になっていた。