うーむ、と頭をひねる。
迷路のようなそれを手繰り寄せようとした、だが形になりそうなところでぼやけてしまう。
癇癪を起して、
「ふん! 商人のくせにこざかしい真似をしおって、このわしを愚弄するなどけしからん」
怒鳴り散らす。
と、そのあとで嗤いが浮かんできた。
「そうだな。こうなったらその娘とやらで腹いせをさせてもらおうか。その者を連れてまいれ」
「・・はい?」
「わしの寝所に連れてくるのだ、今すぐにだ」
「な、なんと。鹿島様、そんなことをすれば火に油を・・」
「だまれっ! 斉極屋の自尊心を打ち砕いてやるのだ。二人のうちのどちらかを連れてくるのだ」
側近は色を失った。
鹿島がこうなったら止めることは出来ない。
肩を落として部屋を出た。
地下室に入る、格子の中の娘がいっせいにこっちを見た。
「斉極屋の姉妹はいるか? 用があるゆえここに出てくるのだ」
壁にもたれていた娘が顔を上げた。
「お前が斉極屋の娘か。もう一人いるはずだが?」
「お姉さんは、ちょっと厠へ行っていて」
ああそうかと頓着せず、
「鹿島様のお召だ。姉妹のどちらかが今すぐお部屋に向かうようにとのことだ」
「・・あの、お召って?」
「あの方は怒っている、傭兵団への仕打ちで堪忍袋の緒が切れたのだ。それを沈める者が必要だ、鹿島様の寝所へ行ってお慰めせねばな」

