はるけき きみに  ー 彼方より -

「そうだな、最初は思うように集まらなかったが。しかしあれが決め手だったな、あれをやってから儲けがどんどん増えたのだ。南蛮人は喜んで買ってくれるからな」
「・・・・」

 側近は返事をしようとした。
 だが喉に詰まって声が出ない。

 やっとのことで、
「さ、最後にいたしましょう。只今あの外国船に監禁している娘と、そしてこの屋敷の地下に捕らえている娘、彼女らを売ればまとまった金になるだろうと」

「そうだな。この街も面倒なことになって来ている、そろそろ潮時かもしれんな」
「はい、ではそのように」

 側近がさりげなく退室する。

「やれやれ面妖な・・」
 途方に暮れて息をついた。
 と、その前に駆け寄る者がいた。

「おお、びっくりするではないか。いったいどうしたのだ」

 男は地下室を見張る番人だった。
 言いにくそうに口ごもると、
「実は、大変なことがわかりまして・・」
「大変なこと?」

「はい。地下に閉じ込めてある娘のことですが、そのうちの二人が、その・・」
「はっきり言え、どうしたのだ」

「こともあろうに、自分らは斉極屋の娘であると」
「なんだと!」
「加奈という娘が申しました。妹の具合が悪くなって、どうしていいのか分からなくなったと言って」