はるけき きみに  ー 彼方より -

 牧師は二人のときは日本語ばかりで話しかけてきた。
 そのやりとりは最初は面白かった。だが子供はすぐ飽きてしまう。
 こんな外国の言葉を覚えてなんになるだろう、とも思った。

 教会へは行かず、友達と遊びほうける日が多くなった。自分を待っているだろう牧師の顔は頭から振り払うことにした。

 そんなある日、マシューの家にあのお菓子が届けられた。
 牧師はマシューの母に渡してそのまま帰っていったのだ。

 皿の中のそれを見る。
 手を伸ばして頬張ってみる。
 しばらく咀嚼せずにいた。

 いつの間にかまた教会に通うようになった。

 そして、前にも増して日本語に馴染んでいった。