はるけき きみに  ー 彼方より -

「ああ。それで堺というところは遠いのか?」
「歩いて半日だそうだ」

「そうか。それを近いと思うのか、遠いと思うのか」
 マシューの顔に影がさした。
 かの地で待ち受けている事態を思ったのだ。

「とにかく俺はいったん帰って堺へ行く準備をするよ。道を聞いて覚えなきゃいけないし、道中どんなものが必要かを聞いてみるべきだな」
 サジットを助けてくれた漁師の家に戻るのだ。

「なあ、俺たち堺に行ってどうなるんだろうね。いったいどんな扱いを受けるんだろう」
 別れ際にポツンとつぶやく。
 顔に言いようもない不安が滲んでいた。

「なんとかなるよ。世の中、そう悪いことばかりじゃないさ」
 わざと快活に言ってみる。

「そうだな」
 サジットはニヤリと笑って背を向けた。