紫音は二人を見た。
マシューは背が高く茶色の髪をしている。
それに比べ、サジットは日本人と同じような背丈で黒髪だ。ただ肌の色が少し浅黒かった。
サジットは英語が苦手だと言った。だとするとマシューとは違う国の人だろうか。
二人は顔を寄せ合って話している。
「いや、とにかく堺に行くべきだろう。でないと何もわからないんだから」
「そうだ、あの船長らに会うのは癪にさわって仕方ないのだがな」
「船長に会って、それで一刻も早くこの国を離れたいんだ。国に帰りたいと思っている、あんな目に遭ったんだからね」
サジットが同意を求めるように言う。
「そうだな。でもあの船が大破していたら帰るに帰れないだろう?」
「恐ろしいことを言わないでくれよ。そうなったらこの日本という国で我われはどうなるんだ」
「あのオランダ船が無事に堺に着いていたら、俺たちが必要になって来るはずだ」
「ああ、大阪商人との通訳が必要だからね」
「堺にいた通訳がなぜかこぞって帰国したそうだよ」
「どうしてだ?」
「わからない。何かの事件に巻き込まれたか、それともこんな日本に見切りをつけたくなったのか」
『・・こんな日本に』
そう言ってはっとした。
あわてて台所を見る。
水仕事をしていた紫音の手が止まっている。
布巾で手を拭くと、
「あの、私はそろそろ浜へ行ってみるわね。潮が引いて来たから何か獲れるかもしれないから」
さり気なく外に出ていった。
マシューはサジットを見た。
しまった、という顔をしている。
「でもまあ、とにかく堺に行ってみるべきだ。話はそれからだろう」
「うん、そうだね」
「問題は俺のこの足なんだが」
と立ち上がってみようとする。力が入らずぐらついてしまう。
慌ててサジットが支えた。
「しだいに良くはなってきているんだ。もう少しだ、もう少ししたら歩けるようになる。そうしたら一緒に行く計画を立てようじゃないか」
サジットがうなずいた。
マシューは背が高く茶色の髪をしている。
それに比べ、サジットは日本人と同じような背丈で黒髪だ。ただ肌の色が少し浅黒かった。
サジットは英語が苦手だと言った。だとするとマシューとは違う国の人だろうか。
二人は顔を寄せ合って話している。
「いや、とにかく堺に行くべきだろう。でないと何もわからないんだから」
「そうだ、あの船長らに会うのは癪にさわって仕方ないのだがな」
「船長に会って、それで一刻も早くこの国を離れたいんだ。国に帰りたいと思っている、あんな目に遭ったんだからね」
サジットが同意を求めるように言う。
「そうだな。でもあの船が大破していたら帰るに帰れないだろう?」
「恐ろしいことを言わないでくれよ。そうなったらこの日本という国で我われはどうなるんだ」
「あのオランダ船が無事に堺に着いていたら、俺たちが必要になって来るはずだ」
「ああ、大阪商人との通訳が必要だからね」
「堺にいた通訳がなぜかこぞって帰国したそうだよ」
「どうしてだ?」
「わからない。何かの事件に巻き込まれたか、それともこんな日本に見切りをつけたくなったのか」
『・・こんな日本に』
そう言ってはっとした。
あわてて台所を見る。
水仕事をしていた紫音の手が止まっている。
布巾で手を拭くと、
「あの、私はそろそろ浜へ行ってみるわね。潮が引いて来たから何か獲れるかもしれないから」
さり気なく外に出ていった。
マシューはサジットを見た。
しまった、という顔をしている。
「でもまあ、とにかく堺に行ってみるべきだ。話はそれからだろう」
「うん、そうだね」
「問題は俺のこの足なんだが」
と立ち上がってみようとする。力が入らずぐらついてしまう。
慌ててサジットが支えた。
「しだいに良くはなってきているんだ。もう少しだ、もう少ししたら歩けるようになる。そうしたら一緒に行く計画を立てようじゃないか」
サジットがうなずいた。

