そして紫音はどうだろう。
物静かな女性だ。喜怒哀楽をほとんど表に出さずいつも微笑んでいる。
『寡黙ではあるのですが・・』
牧師は言った。
『おしなべての日本人がそんな印象なのです。でも、奥底に意味深いものがあるのですよ。それが実に愛おしいのです』
と。
「じつに・・いとおしい?」
つぶやいてみる。
そのあとで、紫音の顔が浮かんだ。
ば、ばかばかしい。
なぜか振り払うように首を振ってみる。
出逢ってほんの数日の女性じゃないか、それも異国の人だ。
有り得ない。
向こうの浜辺から、その紫音が帰ってきていた。
近づく彼女は、夕陽を浴びてあかく染まっている。
マシューを見て笑顔になった、そして手を振って寄こした。
思わずそれに振り返す。
そう言えば、紫音は徳三にこんな笑顔を向けたことはない。
徳三はたびたび訪れる。
だが、彼に対するそんな仕草を一度も見たことはなかった。
◆ ◆ ◆
物静かな女性だ。喜怒哀楽をほとんど表に出さずいつも微笑んでいる。
『寡黙ではあるのですが・・』
牧師は言った。
『おしなべての日本人がそんな印象なのです。でも、奥底に意味深いものがあるのですよ。それが実に愛おしいのです』
と。
「じつに・・いとおしい?」
つぶやいてみる。
そのあとで、紫音の顔が浮かんだ。
ば、ばかばかしい。
なぜか振り払うように首を振ってみる。
出逢ってほんの数日の女性じゃないか、それも異国の人だ。
有り得ない。
向こうの浜辺から、その紫音が帰ってきていた。
近づく彼女は、夕陽を浴びてあかく染まっている。
マシューを見て笑顔になった、そして手を振って寄こした。
思わずそれに振り返す。
そう言えば、紫音は徳三にこんな笑顔を向けたことはない。
徳三はたびたび訪れる。
だが、彼に対するそんな仕草を一度も見たことはなかった。
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