はるけき きみに  ー 彼方より -

 部屋に夕闇が迫っていた。

 紫音の長い話を、マシューは黙って聞いていた。

 暗くなった部屋に八重が行燈を持ってくる。
 そこだけが明るくともり、皆の顔が宙に浮いたように見えた。

 沈黙が訪れ、それを破るように、
「ああ、そうだね・・そうして」
 マシューが言った。

 皆が彼に注目する。

「あの下乃浜で出逢ったんだ、俺たちは。あの海岸で、そうだろう?」

 紫音が顔を上げた。
 マシューを見た。

 彼は静かに微笑みかけていた。