「それから父の葬儀を終えたときに、役所から次の使いがやって来たのよ」
【罪人の娘を堺に置くこと相成らん。そっこくこの地から退去すべし】
非情の通知だった。
紫音に堺以外に親類縁者はいなかった。
かろうじて八重の知り合いが下乃浜にいた。
海岸に空き家がある、そこを使ったらどうかと返事が来た。
否やはなかった。
下乃浜へ発つとき、石川と田中が見送りに来た。
「無念であります、丹波様のお嬢様がこのような境遇になるなどと」
万感がこもっていた。
「この処置は、おそらく我らをけん制するためだと思われます。役所には私達をはじめ篠沢派の人間が大勢いるのです。その者が紫音様を前に押し立てて決起、もしくは行動することを恐れているのだと」
田中も、
「それほどこの事件は不可解なのです。異様な速さでことが進められた、それらすべてが納得できないのです。ですが一つだけ心当たりがあるのです」
「え、心当たり?」
「そうです。丹波様と秘密裏に調べていたことがあるのです。しかしまだ確証を得るまでには至っておらず・・」
「だから我らはこのまま役所にとどまるつもりです。そしてこの事態の首謀者を暴く所存でございます」
「時間がかかるかもしれません。でも必ずや丹波さまのご無念を晴らして差し上げたいと。どうぞ紫音さまもその日をお待ちくださいませ」
それが出立する彼女に向けられた言葉だった。
こうして堺を後にしたのだ。
【罪人の娘を堺に置くこと相成らん。そっこくこの地から退去すべし】
非情の通知だった。
紫音に堺以外に親類縁者はいなかった。
かろうじて八重の知り合いが下乃浜にいた。
海岸に空き家がある、そこを使ったらどうかと返事が来た。
否やはなかった。
下乃浜へ発つとき、石川と田中が見送りに来た。
「無念であります、丹波様のお嬢様がこのような境遇になるなどと」
万感がこもっていた。
「この処置は、おそらく我らをけん制するためだと思われます。役所には私達をはじめ篠沢派の人間が大勢いるのです。その者が紫音様を前に押し立てて決起、もしくは行動することを恐れているのだと」
田中も、
「それほどこの事件は不可解なのです。異様な速さでことが進められた、それらすべてが納得できないのです。ですが一つだけ心当たりがあるのです」
「え、心当たり?」
「そうです。丹波様と秘密裏に調べていたことがあるのです。しかしまだ確証を得るまでには至っておらず・・」
「だから我らはこのまま役所にとどまるつもりです。そしてこの事態の首謀者を暴く所存でございます」
「時間がかかるかもしれません。でも必ずや丹波さまのご無念を晴らして差し上げたいと。どうぞ紫音さまもその日をお待ちくださいませ」
それが出立する彼女に向けられた言葉だった。
こうして堺を後にしたのだ。

