はるけき きみに  ー 彼方より -

「・・これが、一年前に起きたことだったのよ」
 紫音がマシューに告げた。

「それからわずか三日後に・・」
 彼女の声が詰まる。

「父は棺の中に入って帰ってきたの」
「えっ!」

「牢内で、急な発作が起こってあっけなく、ということだったわ」

 棺を前にくずおれる紫音に、
「我われも本当に悔しい限りでございます」
 石川や丹波派の人間が低頭した。

 田中という青年も、
「お体に外傷はなく、その・・毒を盛られた様子もございませんでした」
 ふり絞る声で言う。

 紫音は棺を見た。
 篠沢丹波はそこにいた、間違いなくその生を終えて横たわっていた。