はるけき きみに  ー 彼方より -

「お父上様、理由を知りたいのです、なぜこうなったのか。どうかお聞かせください」
 なおも身を乗り出した。

 しかし・・。
 表から足音が近づいていた。

 石川が聞きとがめて、
「紫音さま」

 丹波にも緊張が走る。
「帰るのだ今すぐ、誰にも見とがめられぬうちに。石川、頼んだぞ」

 石川が土間に手をつく、直ちに外に向かうべく立ち上がる。

 足音の方向を確かめながら、
「あれは牢番の交代です。つかの間見張りが手薄になります、この裏から出ましょう」

 周囲を確かめて忍び出た。

 目の前に石川の背があった。
 これが発覚すれば彼も咎めを受けるはず、そうまでして対面させてくれたのだ。
 その背にさっきの父が交錯した。

 あの顔、あの眼の光。
 言いたいことを飲み込んでいるように見えた。

 いったいなぜ、どうして?
 考えてもわからない。