「あ!うち彼氏にマカロン二個用意してたんだけど、一個あげよっか?」

私が悩んでいると、美香が閃いたようにそう言ってきた。

マカロンは「特別な人」という意味らしい。

「いや、でも、いいよ。悪いし」

美香がせっかく彼氏さんに作ったのを貰うのも罪悪感があるし、なにより私は俊のために頑張ってクッキーを作ったから。

「いいの?まぁ、俊は意味とか知らなそうだもんね」

私はうん、と頷いた。そうだ。きっと俊は意味なんか知らないはず。

そう思っていたのに__。

「待って、俺キャンディー貰った!」

「え、まじか!キャンディーって『あなたが好きです』って意味らしいぞ。お前良かったじゃん!!」

「俺は__」

最悪だ。男子たちがお菓子の意味についてで盛り上がっている。

いつもより小声で喋っているつもりなんだろうけど、いつもは動物園かっていうぐらいにうるさいから、これでも内容が聞き取れてしまう。

これじゃあ、俊にもクッキーの意味を知られてしまう。