「彼女は第二王女にも関わらず、侍女のように働かされ、ご飯もろくに与えられず、屋根裏部屋で生活させられていたようです」
「は?どういうことだ?」

ベリックの報告を聞いて、レリウスは怪訝そうな顔をしてベリックを見る。

「ライラ様は、確かに第二王女ですが、王と側妃との間に生まれた子供のようです。側妃ではありますが、王が一番愛を向けていた妃だったため、ライラ様も正式な王女としての資格を得ていたようです。ですが、側妃である母上が亡くなると、王はライラ様へ関心を向けなくなり、側妃を嫌っていた正妃とその子供たちがライラ様を城から追い出しました。ライラ様は正妃の親戚の家に預けられ、そこで侍女のように働かされ酷い生活を送っていたようです」

 話を聞いていたレリウスの顔がどんどん渋くなる。要するに、正妃から嫌われたライラは王女としての生活をすることなく生きてきて、人間族の王と正妃は自分たちの子供を生贄に出したくないからちょうどいい機会だとライラを寄越してきたことになる。

「クソみたいな話だな」

 ぎり、と歯を食いしばってレリウスはつぶやく。

「それで、どうなさいますか?ライラ様は確かに第二王女でしたが、人間族の王は我々にいらない人間を押し付けてきたことになります」

 ベリックの言葉に、レリウスは口をムッと結ぶ。

「だからと言って、人間族へ返せばまた酷い生活を強いられられるんだろう。それはあまりにもかわいそうだ」
「それでは」
「そうだな、あいつはもう俺のものだ。そう決まっている。人間族に返す必要はない。このまま俺の手元に置く」
「かしこまりました」