人気バンドの紅一点?!~天然美女は溺愛される~

しばらくしてCM撮影が終わり、ルキとマネージャーと一緒にビルを出た。
「じゃあルキ、ありがとね」
「いえ、お疲れ様でーす」
ルキがマネージャーさんと迎えの車に乗り込み、笑顔で会釈しながら帰っていく。
それから1分もしないうちに、私の迎えの車も来た。 
自動で開くドアにマネージャーの彪兎(あやと)──通称あやぴ──と乗り込む。
あやぴとは、中学校時代からの知り合いだ。
私は中学生のころから、CMに出たりとかしてて、芸能人側と観客側の境界線に立っているような存在だった。
そんな時に知り合ったあやぴと仲良くなり、今ではマネージャーになってくれてるんだ。
年も、従兄妹のお兄ちゃんって感じくらいだから話しやすいしね。
「おかえりユキ」
「あれ、みんな!」
車には、何故かメンバー全員がいる。
「全員でお迎えとは豪勢な・・・」 
「大袈裟だよ。にしても仕事お疲れ様。どうだった?」
コウに訊かれ、車に乗りながら片目をつぶった。
「コウのボーカル奪っちゃうかも☆」
「え?」
コウが予想外だと言わんばかりに首をかしげる。
「なんちゃってね!すこし口ずさんでる程度だよ。コウの歌に重ねて歌ってるだけだから」
ARTEMISのボーカルはコウ。
これはメンバーになにを言われてもファンになにを言われても譲れない決定事項だ。
それは、他のメンバーも同じだと思う。
お互いが一番だと信じて、お互いを褒め合って、お互いの力を全力で応援する。
そんな尊い関係を続けたいというのが、ARTEMISの考えだ。
「いや・・・いいかも」
「え?・・・ちょコウ、なに言ってんの」
冗談で言ったつもりなのにコウが真剣な顔をして顎に手を添え、呟く。
「あぁ、そうじゃなくて。ユキ、男女デュオやらない?」
「デュオ・・・?なんでいきなり。しかも私キーボードだよ?」
「曲作りの時点で考えればいけるよ。女性ボーカルみたいな感じでユキとデュオやりたい!」
男女デュオかぁ・・・。
あの、女性と男性が一緒に歌うやつだよね?
たしかにキーボードの量をできるだけ削ってネイとセイに少し加えることはできる。
キーボードの音がギターやドラムから出るわけじゃないけど、ギターだったら特に音自体は合わせられるだろう。
でも、グループ内で男女デュオなんてあまり聞いたコトないかも・・・。   
男性同士とか女性同士のデュオならいっぱいいると思うんだけど。   
それが、ファンや世間に受け入れてもらえるんだろうか。