「ユキー・・・もうやめよーよ」
「ん・・・じゃあ・・・あと少し・・・」
しばらく勉強を進めていると、ネイがぐだーっと寄りかかってきた。
「絶対やめないやつじゃん」
「衣装にシワ出来ちゃうよ」
「大丈夫、そこらへんは気を付けてる」
上着だけ脱いだネイが余計に引っ付いてきて、私は身動きせずにメモのイタリア語を繰り返して読む。
「ユキー、歌合戦だぞ?もう少し楽しんだり・・・」
「ほら、そこに雑誌あるよ。珈琲を紅茶も・・・」
「音楽プレイヤーあるよ」
「テレビでも見る?あ、Blizzardさんの出番だよ」
ネイとコウが交互に話しかけてきて、セイが苦笑する。
・・・あれ、ちょっと待って。
「Blizzardさん?」
「あ、食いついた。ホントBlizzardさん大好きだよね」
「そりゃ、Blizzardさんが好きでバンド目指してたんだから。ほんとに音さんの声好き・・・」
「僕の声とどっちが?」
「コウ」
「あ、そこはコウなの?」
コウに訊かれ、即答するとネイが拍子抜けしたように首をかしげる。
「コウだったらいつか音さんを超えれるとずっと思ってるんだから」
「それはそれは、光栄ですよお姫様」
芝居がかったコウの優雅な一礼に、笑いが起こる。
「じゃあ期待に応えないと。頑張るぞ、おー」
「っふ、おー・・・っwww」
思わず笑いながら拳を突き出し、ネイとセイも真似してくれる。
「ホントに仲いいですねぇ」
羨ましそうにルキが呟き、ニコニコと笑うと。
「俺たちだって仲良しだろ~?」
ルキの肩をリーダーのゼノが抱き、ルキは嬉しそうに寄りかかった。
「うんうん、エメラルドも仲良しだねぇ。すごく素敵だと思うよ、メンバー同士の中も大きな魅力だから。アイドルだと特に『尊い!』ってなると思うしね」
「なんかユキはバンドなのに『尊い!』越して『てーてー!』って言われてるよね、なんでだろうね」
「えー・・・なんでだろうね!」
私にも分からない、尊いという感情すらが。
たしかに好きなアーティスト同士が仲良くしてたら『わーっ!』ってなるけど、『尊い!』とは同じなんだろうか・・・。
違う気がするんだよ、ねぇ・・・難しいや。
ファンのコトしっかり理解すべきなんだけどね、ちょっと私はアタマガマワラナイカラ・・・ネ。
「ユキちゃんはホントに尊いの代名詞ですよ。好きとか愛してるとか恋愛とか越してもはや崇拝──」
「ルキ、やめとけ」
何やら危ないコトを言いかけたルキの口をゼノがふさぎ、言い聞かせ始める。
「普通それって引かれるコトだから・・・」
「惹かれる?」
「なんか違う気がする。だから、変な奴って思われるってコトで・・・」
「推しの印象に残れる?」
「悪い意味でな。もう来ないでほしいって・・・」
「来たらすぐに気づいてもらえるんだ・・・!」
「あぁもうなんでこんな推しのコトになるとバカなんだ⁉」
ゼノが我慢ならないと言わんばかりにルキの頭をぺしっとはたき。
「あ、叩いた。髪直してもらわないと」
ルキが化粧台の前で髪を一応整え、あまり触らないようにしている。
「仲が良いってホントに大切だからねぇ・・・」
コウたちとARTEMISをやってきて、一番思ったコトがそれだ。
仲が良いから、ずっと一緒に居たいから始めわけじゃない。
好きを仕事にできるのも、ファンと支えてくれるスタッフさんのおかげ。
でも・・・やっぱり、仲が良いとずっと続けたいって思うし、続いてほしいって思えるのは、自分で感じて嬉しいコトだから。
「ん・・・じゃあ・・・あと少し・・・」
しばらく勉強を進めていると、ネイがぐだーっと寄りかかってきた。
「絶対やめないやつじゃん」
「衣装にシワ出来ちゃうよ」
「大丈夫、そこらへんは気を付けてる」
上着だけ脱いだネイが余計に引っ付いてきて、私は身動きせずにメモのイタリア語を繰り返して読む。
「ユキー、歌合戦だぞ?もう少し楽しんだり・・・」
「ほら、そこに雑誌あるよ。珈琲を紅茶も・・・」
「音楽プレイヤーあるよ」
「テレビでも見る?あ、Blizzardさんの出番だよ」
ネイとコウが交互に話しかけてきて、セイが苦笑する。
・・・あれ、ちょっと待って。
「Blizzardさん?」
「あ、食いついた。ホントBlizzardさん大好きだよね」
「そりゃ、Blizzardさんが好きでバンド目指してたんだから。ほんとに音さんの声好き・・・」
「僕の声とどっちが?」
「コウ」
「あ、そこはコウなの?」
コウに訊かれ、即答するとネイが拍子抜けしたように首をかしげる。
「コウだったらいつか音さんを超えれるとずっと思ってるんだから」
「それはそれは、光栄ですよお姫様」
芝居がかったコウの優雅な一礼に、笑いが起こる。
「じゃあ期待に応えないと。頑張るぞ、おー」
「っふ、おー・・・っwww」
思わず笑いながら拳を突き出し、ネイとセイも真似してくれる。
「ホントに仲いいですねぇ」
羨ましそうにルキが呟き、ニコニコと笑うと。
「俺たちだって仲良しだろ~?」
ルキの肩をリーダーのゼノが抱き、ルキは嬉しそうに寄りかかった。
「うんうん、エメラルドも仲良しだねぇ。すごく素敵だと思うよ、メンバー同士の中も大きな魅力だから。アイドルだと特に『尊い!』ってなると思うしね」
「なんかユキはバンドなのに『尊い!』越して『てーてー!』って言われてるよね、なんでだろうね」
「えー・・・なんでだろうね!」
私にも分からない、尊いという感情すらが。
たしかに好きなアーティスト同士が仲良くしてたら『わーっ!』ってなるけど、『尊い!』とは同じなんだろうか・・・。
違う気がするんだよ、ねぇ・・・難しいや。
ファンのコトしっかり理解すべきなんだけどね、ちょっと私はアタマガマワラナイカラ・・・ネ。
「ユキちゃんはホントに尊いの代名詞ですよ。好きとか愛してるとか恋愛とか越してもはや崇拝──」
「ルキ、やめとけ」
何やら危ないコトを言いかけたルキの口をゼノがふさぎ、言い聞かせ始める。
「普通それって引かれるコトだから・・・」
「惹かれる?」
「なんか違う気がする。だから、変な奴って思われるってコトで・・・」
「推しの印象に残れる?」
「悪い意味でな。もう来ないでほしいって・・・」
「来たらすぐに気づいてもらえるんだ・・・!」
「あぁもうなんでこんな推しのコトになるとバカなんだ⁉」
ゼノが我慢ならないと言わんばかりにルキの頭をぺしっとはたき。
「あ、叩いた。髪直してもらわないと」
ルキが化粧台の前で髪を一応整え、あまり触らないようにしている。
「仲が良いってホントに大切だからねぇ・・・」
コウたちとARTEMISをやってきて、一番思ったコトがそれだ。
仲が良いから、ずっと一緒に居たいから始めわけじゃない。
好きを仕事にできるのも、ファンと支えてくれるスタッフさんのおかげ。
でも・・・やっぱり、仲が良いとずっと続けたいって思うし、続いてほしいって思えるのは、自分で感じて嬉しいコトだから。



