人気バンドの紅一点?!~天然美女は溺愛される~

「ふぁ・・・おなかいっぱい」
お腹をさすり、バサリとジャンバーを羽織る。
「走りにい行こっか」
「はやいよー・・・」
3人に声を掛けると、代表してコウが答えた。
「ひどいひどい・・・ユキも意地悪だね。こんなおいしいもの出されたら食べちゃうよぉ」
涙目のコウが自分のおなかを見下ろす。
しかし、細めのウエストの服に、お腹がポッコリしている様子はなく、いつも通りのような・・・。
「・・・みんな全体的に細いからわかんないや」
ネイなんてとくに、手も足もお腹も細すぎて、スタイリストさんとシウさんにも最初はすごく心配されていた。
でも、今では筋トレを初めて細マッチョというものになっているんだよね。
「うー・・・もう食べれないけどもっと食べたい・・・」
「矛盾しすぎですねぇ。・・・はい、走りに行くよ」
私たちがいつも走るのは、コウの家の周りだ。
もちろん、一軒家の周りではない。
コウの家合わせて4軒、大きめのマンション1件が隣り合う区切りを走ってるのだ。
ちなみに1州は約200メートル。
それをいつも十数周だけど・・・。
「今日は10周にしようか」
「え、いいの⁉やったー!」
いつも平均15周なので、10周でコウはすごく喜ぶ。
「・・・いや、でもはやくない・・・?」
「遅れたらシウさんに怒られるよ?」
「うん、行こー!」
シウさんさんが怖いのか、3人は一斉に立ち上がった。
まぁ、吐き出し会で顔に傷事件があったからねぇ・・・。
私はその時着替えてたから知らないけど、けっこう笑顔で怒られたらしい。
いつも笑顔だからこそ、怒る時も変わらないのが余計に怖いんだよね・・・。
私は怒られたことはないけど。 
                                                               
                                                                
「よーい、スタート!」
スマートウォッチで時間を計り、走り出す。
みんなも「はやい」という割には結構速く走れてるじゃん。
「はぁ、・・・っはぁ、ふぅー・・・」
セイが膝に手をつき、大きく呼吸をする。
「ん-・・・まだ行けるな、は・・・っふ」
ネイは確かにまだ行けそうだけど、息は切れてる。
「うー・・・10周もキツイってぇ」
コウはゆっくり歩きながら、必死に息を整えていた。
「みんなついてこれただけでもすごいよ!1回も止まらなかったもんね」
私は普段からランニングをするため、これくらいでは疲れないんだけど。
「・・・っふ・・・」
フラリとコウの体の力が抜け、地面に膝をつく。
「わっと。ネイ、手伝って?」
「ん、オッケ」
ネイは私と反対側からコウを支え、家に歩き始める。
「セイは大丈夫~?」
「俺はコウよりはマシ・・・なはず。大丈夫、行くまでには整えるから」
セイは私とネイの後ろから、ゆっくりついてきた。