人気バンドの紅一点?!~天然美女は溺愛される~

「最初は~・・・ヤバすぎの山?」
「え、ネーミングさぼりすぎじゃない?」
「次は・・・ダルすぎの谷?」
「その次はキモすぎの洞窟だって」
「最後は・・・え、エロすぎの迷きゅ──」
言いかけたコウの口を、ネイが神速でふさいだ。
「お前・・・そのきったない言葉をユキに聞かせる気?純粋の象徴の天使に?汚れることのない光の妖精に?」
「ところどころ変な単語混ざってるけど・・・まぁ、そうだね」
ネイに圧をかけられ、コウは納得(?)したように口籠った。
「あれ?これラスボス?迷宮の名前もあって露出は激しいけど・・・弱そうじゃね?」
セイの言葉に頷くと、画面内のセクシーな御姉様はムフン♡と笑みを浮かべた。
『ワタシみたいな女を攻撃するなんて、出来ないでしょう?ワタシの・・・お・あ・い・て♡してくれるなら迷宮に入ったこともチャラにしてあげるわ。もちろん、傷はつけないからぁ』
スピーカーで流れてくる甘ったるい声に、ネイがコントローラーをカチカチ鳴らす。
「なにこいつ・・・きも。ユキ以外なら傷つけれるし。お前の相手なんかしてたら俺の人生終了どころじゃないだろ」
「ネイ・・・」
イラついたように画面を睨むネイに、コウが呆れたように息をつく。
「正論言わないの。ゲームなんてみぃんなそんなモノでしょ。・・・でもこいつヤだね」
コウはそう言った後、自分のステータスを開いてなにかを確認し始めた。
「氷・・・串刺しもできるな。水は・・・少しずつ窒息・・・」
「嵐も起こせるよ。風の刃で皮膚1枚ずつ削る?」
「土も串刺しできるぞー。内臓から破壊してくのもできるし、岩も降らせれる」
あれ・・・めっちゃ惨い殺し方探してない・・・?
「ユキはー?なにかある?」
「聖光で清める?でもラスボスになると消滅しちゃうから・・・」
「いーよ?それでも」
「内臓から消滅させちゃうかも・・・」
「ぜひぜひ」
乗り気すぎるかも・・・なんか仲間が怖い。
「うっしゃ、じゃあ倒してご飯食べて走って行くか!」
セイの元気な声で、みんなで一斉にラスボスに攻撃を放った──。