「ねぇ、私に隠してることあるでしょ?」
秋聖くんとお話が終わって、妃奈乃とかえっていたらいきなり妃奈乃にそんなことを言われた。
「か、隠してなんか、ないよ・・・」
「嘘だあ?さっきからにやけてるよ。」
「・・・・ぅ・・・」
だって、秋聖くんのあの笑顔を思い出したらなんか微笑ましくなっちゃって・・・
なあんて言えない。
「言わないんだったら私が言ってあげる。秋聖の彼女になれたんでしょ?!」
え・・・?なんでわかるの!?
「え・・・あ、うん。そうなの・・・」
「やっぱり!よかったじゃん。」
笑顔で言ってくれるけど、そのひとみには寂しさが混じっているような気がした。
・・・でも、そりゃそうだよね。だって、失恋をがっつりしちゃってるもん・・・
「まあ、私はまた新しい恋を探すよ。」
妃奈乃は騎乗に振舞って、そんなことを言う。

妃奈乃side
「はぁ〜〜〜」
私は帰って、玄関にカバンを置いたまま自室のベッドに寝そべって大きなため息を吐いた。
あの、恋春の嬉しそうな笑顔を見た時、泣きそうになった。
それを必死にこらえてよかったじゃんって笑った。
恋春が、友達が、楽しそうならそれでいいんだ。私も秋聖に対して態度があれだったし・・・
よかったはず、よかったはずなのに・・・・こんなに胸のつかえがとれないのはどうして何だろう?
「これが・・・失恋ってやつなのかな・・・?」
「なーに言ってんだよばーか。」
ふいに、そんな私を揶揄する声が聞こえた。
見ると、部屋の入り口のところに一歳年上の兄、蒼斗(あおと)が立っていた。
「乙女ぶってなにいってんの?そんなぐちゃぐちゃいってねぇで、菜乃のおむかえいけ。」
蒼斗ってむかつくやつ。兄だからって偉そうに。私はイライラする。とにかく今はそう言う気分じゃない。
うちは、母子家庭でお父さんは見たこともない。
お母さんは私たちのために日々忙しく働いているから保育園のお迎えなんて行ってる場合じゃない。
うちには、十一歳年下の、五歳の妹、菜乃(なの)がいる。
その笑顔はまさに天真爛漫でとっても可愛くていつもなら飛び起きてお迎えに行くところなんだけど・・・・
私は今、失恋のショックで立ち上がれないんだ。
「蒼斗が行って?私、そう言う気分じゃないの。」
「はあ?いつも行ってるじゃん。おれは行かないからな?」