わけありくんを護ります



──1人の時間が必要、か。

部屋に戻ってすぐ着替えをすませて、ベッドに座った。
かといって何かすることも特に……


「あ、1つだけあった」

現段階の報告。
比江島くんの無事や、状況を。

電話、電話──着信っと。出るかな。


『……もしもし、凛か』

「あ、お父さん?キリがいいから依頼の報こ──」

『将来のための有望な人材探しと若手を育てることにいそがしい。泣き言なら聞かんぞ』

「え?いや報告をね……ってあれ?」


……切れてるし!!


「なにさ!人の話聞かないで勝手に!いいもんじいちゃんに言って伝えてもらうから!」

すぐにじいちゃんのもとへかけ直す。


『なんだ凛か』

「良かった、お父さんに伝えて欲しいことが──」

『弱音なら聞かんぞ』

「報告をね!?おじいちゃん?おじいちゃんってば……」


画面には【通話終了】の文字。


「全然話を聞かない2人だな!」

ボフン、と布団に投げた携帯がしずむ。