わけありくんを護ります







朝、何かの気配が近づいてきたのを察知して、私は目を開けた。


「あ」

私の顔をのぞく比江島くんの顔が視界に入り、寝起きとか関係なく体が動く。

「痛いっ痛い!!ごめんなさい!すいません!申し訳ないっ……ただひとこえかけてから行こうと思っただけで……穏便にぃ!!」

ベッドの上で身動きがとれないよう比江島くんに寝技をかければ、どこかに行くという。

「どこに行くの?」

力をゆるめてあげると、比江島くんは少し顔を上げた。

「えっと俺、実家に忘れ物をして来てたらしく……それを取りに」

「忘れ物?」

「あっ、でもタクシーで行きますし、ちゃんと連絡はいれるようにしますので」

完全に解放してあげれば、立ち上がる比江島くん。

「でも、大丈夫?いつもおどおどしてるの見てるから、こっちが心配になっちゃうんだけど」

それに、外で1人にさせることなんて、依頼を受けてからほとんどなかったから。