そして、私とは違う方向へと遠のいていった複数の足音。……うまく撒けた?
「はぁ……なんなのよ、もう……」
この間まで悠々と自転車通学していた私には、こんな急なダッシュは悪い意味で効きすぎる。
乱れた息を整えようとバッグを抱いてその場にしゃがみこんだ。
……転校初日にしてこんな波乱が待ってるとは思わないでしょ。
「……少し回復したら、学校行かないと」
遅刻なんてシャレにならないんだから。
ロスした時間を考えると、早くこの場所から通りに出なきゃ……撒くためとはいえ、どこを走ってきたかわからないし。
コツンッ──
「ん?」
立ち上がろうとした私の足に、石ころがぶつかった。これは……



