わけありくんを護ります


聞かれた梅木くんは笑顔で頷き、お重の中身を見せてくれた。

「じゃじゃーん!ブンお手製のおーせーちー!ちなみにもう1つも同じ!」

『おせち……』

私と比江島くんは、まじまじとおせちを見た。

「す、すごい……」

「……プロ見たいなクオリティ。というかまたってどういうこと?」

おせちから顔を上げた時、意味を知る2人は頭を抱えていた。

「ケンカ終わりとか、嫌なことある度にまるっきり同じメニューでお重2個持ってきやがるんだよ、コイツ!」

「最初は美味しいんだけどそんなに食べれないし、でもブンは永遠に食べて食べてって言ってくるから……」

なるほど、お腹がはち切れそうなくらいまで食べさせられるってことね。

「仕方ないじゃん。昨日ボロボロになるし痛いし、むしゃくしゃしたから、おせち作りたくなったの。みんなもそういう時あるでしょ」

「……ねぇよ。急におせち作りたくなるとか。共感できねぇし」