わけありくんを護ります


「……昨日、なんか強いとこと乱闘があったって、3人が頑張ってくれたって話を聞いたから。お疲れって意味で。ね、比江島くん」

「は、はい!ありがとうございました!」

実は見てました、加勢しました、なんて言えるわけないからね。
見てた、っていうのはいいのかもだけど。

「あはは……まあ、嫌でも乱闘話は耳にしちゃうよね。昨日の今日だし。ならありがたく頂くよ。ありがとう」

「りんりん、と……なんとか島くん、ありがとー」

「比江島だろ?んまぁ……サンキュ」

それぞれのお礼の言葉が返ってくる。

「差し入れは凛さんが全て買ったので。俺はなにも──」

「あ!そうだ!りんりんも島くんもこれ食べて行っちゃいなよ!」

と、梅木くんが持ってきたのは──


「……お重?」

しかも3段のお重箱が2つ。

「えっと……?一応聞くんだけど、またなの?ブン」

「だからいつもなんでこんなに持ってくんだよ!」

なにやら竹森くんと松野くんはこのお重の意味を知っているみたいで、汗をにじませる。