わけありくんを護ります




「──はぁっ……はぁ……」

追いかけてきた数人をまきながら、学校の裏口にまわり、比江島くんがいないことを確認する。

「良かった、間に合って……」

乱闘中、昇降口の棚にある
【忘れ物コーナー】からはいしゃくしたメッシュパーカーを脱ぐ。

フード部分もメッシュだったから、視野がせまくても、おかげで苦はなかった。

顔も出さずうまいことやりきったし……納得しない残りのかまいたちの子達は、3人にお任せ。

「……ふぅ」

パーカーを元の場所に戻して、汗をぬぐっていると、パタパタと足音が。


「あ、お待たせしました。はいこれ、購買でお茶買ってきましたよ」

「ありがとう」

鞄を受け取り、お茶を飲む。
飲み物、頼んでおいて正解だった。

「それで……3人はどうですか?」

「強いよ。勝てるんじゃないかな」

「本当に!?」

「だから、今のうちに裏口から帰ろっか」

もう一度、グラウンドを目にしてから、私たちは帰路に着いた。