わけありくんを護ります


ずっと、誰なんだよ……って声が聞こえてくるけどそれより、私の存在に気づいていないこの総長さん。と、そのなかまたち。

余裕があると思っているのか、どうやら楽しくトップ同士で談笑中らしい。

一度止まってあげたけど、やっぱやーめた。

ダッシュをかまし、総長の裏をとる。


「総長っ!」

「総長ー!」

複数の気づいてくれって声に、ようやく反応した総長と、私を視界にとらえたトップの面々。

驚き、焦り、足がおぼつかずよろけ、
違和感に気づき後ろを振り向いた総長さんだが──時すでにおそし。

顔面……すれすれに私の拳が総長さんの顔をとらえた。


「ひ、ひぃ……!?」

腰を抜かし、その場でくずれおちる総長さんに、私は声を低くして言った。

「……強瀾の勝ち、でいいな」

「は、ハイッ……!!」


青ざめて私を見上げる。
なんだ……見た目だおしの総長さんだったってわけか。ガタイがいいから、骨があると思ってたのに。


──っと、そんなこと考える前に、早く戻らねば。

強瀾の勝ちが決まったことだし。

「よっと……」

また一直線に走り出し、塀をこえて道路に出て走った。