わけありくんを護ります



──屈伸をし軽く肩をまわして、深呼吸をひとつ。
そして、乱闘の姿を真っ直ぐ見据えた。


「……行くか」

昇降口から外へ1歩、また1歩とグラウンドに向かって歩き、徐々にギアをあげていく。

乱闘の群れに一直線で突進。

その途中、私に気づいてやってくるかまいたちの子を足を止めることなく、次々と一撃急所ねらいでのしていく。

3人のおかげで思ったより早く、中間ポイントまでスピードを落とさずに突っ込んでこれた。

総長さんの姿も3人の姿も大きく見えてきたっ見えてきた──


「……ブンッ!!後ろきてんぞ!!」


梅木くんの死角を奇跡的に取ったのか、かまいたちの1人がせまっていたのが、私にも見えていた。

だからっ──

松野くんの声に梅木くんが反応してふり返る前に、走る勢いのままその子を()り、着地した足でまた走り出す。


なんだ今の!?、一体誰!?って、2人の声が後ろからしたけど、ごめんね、足は止めないよ。