わけありくんを護ります


竹森くんが未だ痛そうな男の子を床に寝かせると、それぞれのウォーミングアップがはじまった。

ピョンピョンはねたり、

肩をまわしたり、

屈伸したり──


「……行くぞ。誰が何人倒したか勝負でもするか?」
「お、それいい!おっけぇー!」
「はぁ……途中で数えるの忘れそうなんだけどな。いいけどさ」

余裕のある言葉と背中。
その姿が少しずつ遠のいていき、再び私たちはのぞきこんだ。

「もしですよ?3人とも倒されたりしたら、次は校舎にも来ますかね?」

「どうかな。あまり可能性としてはなさそうだけど、強瀾じたいをつぶすってことなら、今ここにいる生徒も教室も、全部ってことかもね」

「じ……じゃあ裏口から帰りましょうよ」

「少し様子をみてからね。本当に負けたら、明日から学校はなくなるも同然でしょ?」

3人の実力を見る絶好の機会でもあるし、
この場で、かまいたちが負けたとしたら、私のボディーガードとして警戒すべきチームが1つ減る。

別にかまいたちは、比江島くんを追ってるわけじゃないけど。
警戒するチームが1つだけになるなら、非常に楽になるってこと。