わけありくんを護ります


まるで私を珍しいもの見るような──否、おもむろに引いているような目だった。

移動中にもひしひしと感じた視線は同じものだったから。


バスが停車し、一つ前だが私は降りることにした。
あまりにも居心地が悪すぎて、あの空気感から解放されたいがために。


扉が開くとすぐ、飛び降りるように地面を蹴って着地する。


「……はぁ」


降りてすぐ、目一杯深呼吸をした。

人の量にも目にも、こそこそと耳障りな声からも解放され、残すは後少しの道のりだけ。
学校に着いたら着いたで、友達作りだの自己紹介だのが待っているけど……成るようにしか成らないんだから気負うのはよそう。

「えっと……こっちに行けばいいのかな」

腕時計を見れば思いの外、余裕な登校になりそうだ。