わけありくんを護ります


一通り目を通したノートを閉じ、私は比江島くんを見た。

「このノートを作った理由は」
「もちろん、俺の安全のためです!」


やっぱり。
ちょっとでも、情報をくれようとしたかも、なんて思ったのがバカだった。

「だって、見分けがつかないと逃げようがないし、いつどこで遭遇(そうぐう)しちゃうかもわからないですし……他の不良さんとも……」

そこは理解できるけどね。

「それに、特徴を知っておけば回避率(かいひりつ)があがるかと思って」

これも分かるんだよなぁ……

でも一つ。

「服装や髪に特徴があるって分かってるのはいいし、構成メンバーを把握しておくのはいいことだけど、どうやって調べたの?」

調べるなら、自分からある程度近寄らないと、見た目だけならまだしも、名前まで知ることなんて出来ないはずなのに。