「来た当初、何もされなかったの?」
「これが意外や意外……何もです。おそらく、見た目通り俺はよわっちいので、みんな手を出すのも面倒なのかと」
ま、一理ある。
一撃でノックアウトしそうだもんね。
「でも、よその子達には目をつけられちゃったわけだ」
「はい……」
シュン、として。ほんと子犬みたい。
「その不良っていつも違う人?それとも同じ?」
「それが……あ!」
ひらめいたように、比江島くんは抱いていた鞄をあさりはじめた。
そして手渡されたのが、一冊のノート。
「これは?」
「安全ノートです」
「安全、ノート?」
ちょっとよく分からないけど、とりあえずパラパラとノートを開けば……
──これはっ……
不良メンバーの情報をまとめた、写真や文に加え、うちの学校や……特徴のある他のメンバーのことが書いてあった。
これって、もしや私に情報をくれようと調べたってこと?
いやでも、安全って言ってたし──



