「お願いしますっ!」
「近い……」
もしかして、私がイエスと答えるまでここにいるつもりなの?
って……あれ?この顔、どっかで見た気がする。──あ。
「君、確か教室にいた……窓側の男子?」
聞けば、正座して頷いた。
「は、はい……同じクラスの、比江島柚希です」
「名前はこの中身で分かってるよ」
「あっ、そ、そうですよね」
私が手紙をヒラヒラとさせれば、この真面目ひ弱男子……もとい、比江島柚希は、『ははは……』と苦笑する。
「にしても俺のこと覚えてるなんて、来たばかりで、しかも話してないのによく分かりましたね……」
「そう?逆にあの中じゃ、真面目そうな見た目ほど目につくものだと思うけど。しかもちゃーんと、ノートとってたしね」
「ああ、なるほど……」



