わけありくんを護ります


「おい比江島、芝桜に勝ったからって安心してんじゃねぇぞ」


「え?」


梅木くんを止めながら顔を上げる比江島くんを松野くんは拳を鳴らしながら見下ろす。


「俺ぁ、別に総長の座なんていらねぇが……芝桜は別だ。こっちの相手もしてくれんだろうな?」

「え」

「右に同じく。今、とは言わないけど近日中にお願いしたいね」

「え」

「よーし!ぼく頑張る。ガチで行くから。よろしく総長」

「え、えー……」


私に勝ったと喜んだのも束の間。やはり比江島柚希にはまだ勝負が残っている。らしい。
松野くんも竹森くんも、梅木くんも、すでに勝負師の瞳に……。


「マジでやるの?」

『やる』


比江島くんはあぐらのまま汗を滲ませ、やる気満々な松野くんたちに見下ろされれば、はは……と比江島くんは苦笑いをしてみせた。


そして『はぁ……』と溜め息をつき、すぐに分かったわかった、と頷く。



「あ、でもひとまず、仮はとっていいんだもんな?なら彼氏として挑んでやろうじゃん!なら大丈夫な気がしてきた!」


今しかだ松野くんたちのやる気にため息をついていたのに、このきりかえ……いいんだか悪いんだか。





けど、







仮が取れたのに、あっけなく負けたりなんかしたら許さないんだから──