学ラン……
畳んでおいたはずの学ランを……
というか!き、キッ……!?
「ひ……比江島柚希ぃ!」
「わー……え?なに?」
一人で喜んで学ランを着直している比江島くんに、座りながら睨みつけた。
「い、い……今のはなんなの!?こんなの決着ついたなんて言わせないんだから!」
なんて、言っても自分の顔が真っ赤なのが分かる。抗議なんてしても、負けたことにかわりはない。
……でも、いくら決着がつかないからって、人前でキ、キスする!?それを決着の決定打にする!?
悔しいやら恥ずかしいやら、どんどん気持ちがわいてきて中々立ち上がれないでいれば、比江島くんは私のところに来てしゃがんだ。
「だーいじょぶだって。だから学ラン用意したんじゃん?三人からは見えてないよ」
「そういうことじゃっ……」
言いかけて気付いた。
比江島くんは、最初からこの結末にしようとしていたのだと。
学ランを腰に巻いて、私が取るのも想定し、喧嘩してるそばに置かせることも。
全部、比江島くんの思い通りの結末にするためのもの。



