──いつからか、私と比江島くんの攻防が常にどちらかに一発入れば終わるという展開に、そばで見ているはずの三人からは全く声が上がらなくなって。
お互いの拳がお互いの顔すれすれで突き抜けて、足技を繰り出してもかすっていくだけ。
決着をつける一発が入らない。
日が落ちていく中、回し蹴りをすれば比江島くんは大きく後ろに飛び退けしゃがむ。
「……っなに休んでるの。ほら」
来なさい、と指で合図するも私は自分から突っ込んだ。
これ以上やりあえば体力の差でついていけなくなるから、本当にここいらで決めないと勝機はない──!!
そんな私を見て、立つモーションに入る比江島くん。
一発……この一撃で、決めてやる!
腕を引いてパンチのフェイクからの、足っ……!?
にやり──
立ちかけていた比江島くんが笑った。
何かある、そう思った時にはもう遅かった。
後ろに体を引こうにも、
視界がいっきに真っ暗になり、顔からかかった何か。
後ろに仰け反った体ごと受け止められ、かけられた……学ランをそっととられ──
目の前に広がる比江島くんに、落とされたキス──
「……ってことではーい、いっちょあがりーっ!俺の勝ち!」
にこりと笑う比江島くんに、私はその場にへたりこんだ。



