そして、準備を改めた比江島くんは──
完全に、目つきが変わった。
おまけにまとうオーラも。
それを感じているのは、私だけじゃない。
みている三人も同じように目で、肌で感じているのだろう。
騒いでいた梅木くんや松野くんが、すっかりと黙り込むくらいの……別人級、比江島柚希なんだもの。
……こりゃ、私もギア上げないとね。相手はあの弱々しい比江島くんじゃないのだから。
「いつでもいっていい?」
「ええ、どう──」
どうぞ、そう私が言い終える前に低い姿勢でダッシュをかました比江島くん。
──っはやい……!!
あっという間に間を詰められ、次々と拳が伸びてくる。
……ま、避けるけど。
「っはは、さすが俺のボディガー……ドっ!!」
ひたすら連続パンチをしてからの、不意打ちともとれる足蹴り。
下から異常なスピードで蹴り上げられた足は、避けた私の髪をかすった。
けどそのまま避けて終わるなんて、ありえない。
「……ぼ、ぼく、当たったかとおもった……」
「黙ってろ、ブン……」
避けながら体を回転させて比江島くんの地に残る片足へ足をかけにいく。
「っ……!」
完全にひっかけた。
当然のごとく、バランスを崩し後ろへ倒れていく比江島くん。
ここで、いっきにいく……!!



