「どう?総長さま。……私は鶴谷みたいに当たらないまま降参なんてしてあげないわよ」
ついでに腰に巻いた学ランをとってやった。
「よっ、りんりんやるぅ!」
「やーいやーい」
梅木くんが拍手する中、挑発するように学ランを掲げるも、蹴られたはずみで後ろへよろけた比江島くんは、そのまま俯いて息を吐いた。
その間に私は数歩後退り距離を取る。
「……あー、やっぱそうだよなぁ」
俯いてるわりに、どこか楽しそうな声に聞こえる。
「さっすが、俺の最強ボディガードじゃん」
──っ!
これは、ヨイヤミの時に見た……
髪をかき上げた、本気の総長の姿。
「……おっけ、俺今ので完全にスイッチ入った。ちょい待って。体もっかいほぐすから」
学ランそこら辺にポイってして、と軽い準備をする比江島くんに言われ、取ってしまった手前きちんと畳んで置いた。
「凛、律儀っ!」
「うるさいっ。早くしなさい、元依頼主!」



