わけありくんを護ります



 
私を応援しだす梅木くんに、比江島くんに苛立ちを見せる松野くん。

それがいいのか悪いのか、竹森くんは時折そんな二人をとめながらこちらをみていた──




「……っと」


攻め一択の私に総長比江島は避け専門にまわっていて……まるでヨイヤミ戦を彷彿とさせる。

ひたすら攻撃しても当たらない蹴り……かすりもしない。

だけどあまり懐に入ると、簡単につかまりそうでまだ拳は出せていない私。


かれこれ十分程は経ったろう。



「もうっ……」


こんな当たらない人はじめてだっ……ての!!



思いきり二段蹴りをすれば、一段階は当たり前だけど読まれた。そんなのは承知済み。
けど、ずっと当てられないのもフラストレーションたまるのよ。



「……っ!?」


避けられた後のもうひと攻撃に、比江島くんの反応は遅れ、肩に少しだけど蹴りが入った。


「わぁお!やった!」
「……二段蹴りもすんのかあいつ」



──とは言っても、ほんっとうにつま先触れたくらいだけど、当たったはあたった。