おっと、いけない。
一筋縄ではいかないと分かったら、ついにやけちゃった。
──『彼氏仮と殴り合いするっていうのに喜ぶのってどうなのさ』
正直、比江島くんの言う通りなんだと思う。
普通ならそんなことしないものね。
だけど私は違う。鍛えられて育った。
比江島くんのお父さんだってヤンチャ時代があったって言うし、比江島くん自身もそこらの男子とは違う育ちをしている。
「……簡単に、攻撃が当たらないっていうのは」
燃える──!!
「え……?なに?凛なんて?聞こえないよ!?」
「おい比江島!お前棒立ちやめろ!鈍臭せぇやつにみえんだよ!」
「鈍臭い!?俺が!?」
「こらっマツ、勝負中に口出さないのっ」
「あははは!りんりん今のマジ蹴りじゃんさいっこー!」



