【絶対勝利】が条件の比江島柚希。


放課後、生徒会室メンバー以外見るものは居ないグラウンドのど真ん中。


彼氏仮と向き合う私。



「天気りょーこー!勝負には持って来いのグラウンドだね!」

「……ブン、お前芝桜が好きとか言いながら怪我したらーとか思わねぇわけ?」

「そう簡単に怪我する子じゃないもん。でも……その時はらんにゅーか!?」

「乱入するんだ……俺もその時はしようかな」

「バンもかよ……」



そばにいる三人の会話を耳に、私と比江島くんは準備体操。

ルールはどちらかが倒れるまでのエンドレス。


「……比江島くん、そろそろいいよね」

「考え直したり……なんて」
「ない」
「ですよね……」



なんだろう。
眼鏡してないのに、この旧比江島感。

しかも棒立ち。


「比江島、学ラン巻いたままかよ。邪魔になんぞ」

「あーこれ?いいのいいの。気にしないで」


私も腰に巻いた学ランが気になっていた。
取らないって言うし。

ハンデとかの意味でも無さそうなのに。


「……まぁいいや、始めましょ」