わけありくんを護ります


出ていこうとする後ろ姿に、梅木くんは今しがたはしゃいでいた顔から、一瞬にして表情を変えた。


「……じゃあマツくんは降りるんだね?」

「あ?」

「りんりんと総長のタイマンのあと、ぼくやバンチャンがもし島くんに勝つことがあれば、ぼくはりんりんもらうよ?」


ヨイヤミに聞いた荒々しさ全開の時の声とトーンが同じ。梅木くんは比江島くんとやる気だ。


「それでもいいなら、ずーっと片想い引きずれば?ぼくたちぜーんぜん困らないし。むしろ敵が減ってらっきーだし」


梅木くんの煽りに竹森くんはハラハラしだし、私の横で

『松野はいつから片想い?』とか、

『凛としても、コイツらとも対決すんのかよ……』とか、

ブツブツと言っている比江島くん。


「……くそ分かりやすく煽ってんじゃねぇぞ、ブン」
「後からマツくんに文句言われたくないからね」


松野くんは戻ってきて梅木くんを睨みつければ、梅木くんもまた挑戦的な視線を返す。