わけありくんを護ります

そしてすぐに、


「はぁーい!お待ちどーう!こちらブンくん特製お重セットになりまーすっ」


『え"……』 


そう言って置かれたお重の数は3個でも4個でもない。


「123……4……5……──5っ!?5!!?」


松野くんが驚きのあまり立ち上がる。
その隣で竹森くんはすでに口と胃を押さえ始めた。


──ほんとに……うん。5個だ。


さすがの私も胃が重たくなってきた。


「こっちはケーキ!こっちは普通のおせち!こっちは団子でこっちは──」

どんどん広げられていくお重に、皆の顔が険しくなっていく。
梅木くんだけ楽しそうにしてるけど。


「あ、飲み物飲み物ー」


全部広げ、皿を配った梅木くんは飲み物を取りに行った。


「……ごめん皆、もう戦力になれそうにない」

「おいバン……さっき胃に耐えろって言ってたろうが……うっ、甘い匂いやら海鮮やら、匂いすげぇな」

「ごめんね比江島くん、3個なんて言った私が甘かった」
「いや……気にしないでいいって。一応覚悟してたわけだし」


何も口にしていないというのに、空気も胃も重たい。

親切に飲み物も全員用意され、梅木くんはダボダボの袖で手を合わせた。

「はぁーい!ではではいただいちゃって!」