わけありくんを護ります








帰りがけ、比江島くんが行きたいと以前来た、たい焼き屋に寄った。

「なんでたい焼き?ご飯まであまり時間ないのに」
「約束したじゃん?たい焼き、また食べようって」

──『また今度、一緒に食べましょ』

バットくんに襲われた時の……

「……そうだね」
「俺、そーゆー約束覚えてるタイプなの。待ってて」

比江島くんは前と同じ注文をし、チョコのたい焼きを私にくれた。

「ありがと」

今日はちゃんと食べれるぞ。
頭かしっぽ、どちらから食べようか考えてれば、比江島くんがどこかを見据えながらポツリと言った。

「あん時さ、強くて凛としてて……本当度肝抜かれたよ」

見つめる先は、私がバットくんとやり合ったところで。

「凛のことは信じてたけど……怪我したらどうしようって、危なかったら俺がぶっ倒そうって。弱いフリをしないといけないのに、そう思ってた」
「……そう」
「そんで……さ。場所は微妙で非常にごめんなんだけど……」

比江島くんは私に向き直ると、まっすぐ手を差し出してきた。