わけありくんを護ります







むかえた昼。目のクマが気になるも、私が今出来るおしゃれをしてみた。

「べ、別に緊張とかしてないし」

柄にもなくそわそわして、鏡の自分に言葉をぶつけていると、ドアが開いた。


「よ。準備でき……」
「なに、黙り込ん……」

私たちは、互いを見て固まった。

だって、素の比江島くんの私服姿が……かっ……かっこよく見えて。朝もそうだったけど、眼鏡ないしっ。

「何赤くなってんのっ」
「な、なってない!そっちだって固まってたじゃない」
「ん?うん、予想以上に可愛かったからつい」
「お世辞はいらない」

「何でさ、本音だってば。早く行こ」

比江島くんは微笑んで私を手招きする。

……なんだか、心臓に悪いな。素の比江島くんは。




──寮を出る時、乙女子さんにも喜八さんにも、デートかと言われ、否定も肯定もせず、うまくにごして外を歩く。

一緒に歩くのが普通の日常だったのに、今は違和感しかない。


「いやーまさか急なデート、オッケーしてくれるとは思わなかったなぁ。断られると思った」

「そ、それは!これからもあの部屋での生活が続くから、素の比江島柚希くんを知るために同行するわけでっ」
「はいはい。照れないの」

っ!なんか以前の比江島くんと私の立場が逆転してる感じがする……!!