わけありくんを護ります







体は疲れてるはずなのに、ろくに眠れず外が明るくなって──重い体を起こしたその時、ドアノブが静かに動いた。
鍵、開けっぱにしといたから。


「……あれ」

開けたドアからのぞく比江島くん。

「ドアあいてるし、起きてるとも思ってなかった」

「先に戻っててって言ってから……3日も帰って来ないし音信不通だしで気になって眠れなくて」

まだボディーガードの感覚が抜けないってのもあるけど。

「ごめんて。実家に帰って終わりの報告と、これからの話をしてきたからさ」

これから──私はともかく、比江島くんは元の学校に戻るって話か。

「いつ戻るの?」

「その事なんだけど……」

比江島くんは、線の前で止まり座った。

「ヨイヤミを倒したあの日、凛のお父さんに卒業するまで今の生活を2人で続けさせて欲しいってお願いしてたんだ」

「え……」

「でも、たて直しのために元々、凛を卒業まで置くつもりだったらしくて。だから俺も、親父に頼みに行ってきたってわけ。ついでに私物も色々持ってきた」

廊下にあるけど、と。

「本来なら、この後は松野に総長を戻すつもりだったんだけど」

「……じゃあ、私たち」

卒業までこの部屋で過ごすんだ……

計画のためとはいえ、終わると思ってた生活が続くことに、不思議と安心してしまってる自分がいる。

「それで、さ。急なんだけど、1つお願いがあって」

「お願い?」